2008年3月19日水曜日

2つの重要イベント終了でドルショート・カバー炸裂

「第2のベアー」として警戒されていた米大手証券リーマン・ブラザーズの
第1四半期決算(12-2月期)は大幅減益(前期比▲57%)となったものの市場予想を上回り、
前日に19%下げた同社株価は46%高の急騰劇を演じている。

米最大手証券ゴールドマン・サックスの四半期決算も前期比▲53%の大幅減益となったが、
1株利益は市場予想を上回り、同社株価は16.35高で引けている。

クレジット市場では企業の社債返済能力に対する市場の見方を映すCDSスプレッドが縮小、
一段の信用収縮を招く悪循環はひとまず断ち切られ、
週明けに加速したリスク回避の反動調整的な「株高・円安」が促された。

とはいえ、両社の四半期決算では買収ファンド向けや商業用不動産ローンなど、
幅広い金融資産で評価損が発生しており、まだまだ予断は許されない状況にあるといえよう。

事実、IMFのシン西半球担当局長は世界的な信用危機の深刻化により、
「米国および世界の金融機関が8千億㌦の評価損を計上する可能性がある」との
見通しを示しているほか、グリーンスパン前FRB議長は
「米国の金融システム不安は戦後最悪の危機」と述べている。

こうした状況下で開催されたFOMCは、FFレートの誘導目標を75bp引き下げ、
年率2.25%とすることを決定した。 
米株式市場では、利下げ幅が事前予想の100bpに届かなかったため、
発表直後は売りで反応、ドル/円も97円台へ引き戻されたが、
公定歩合が75bp引き下げられた(16日と合わせて計100bp)ことや、
FOMC声明が追加利下げに含みを残したことが好感され、
NYダウは420㌦高の急騰、ドル/円は100円の大台を回復した。

市場の金利観を反映するFFレート先物市場では、次回4月末のFOMCでの1.50%への
大幅利下げの織り込みが後退、50bpの追加利下げによって1.75%で打ち止めされる
との見方を示している。

バーナンキFRB議長は、2月末の半期・議会証言で、
「インフレ調整後の実質金利を長期間にわたりゼロ%以下にとどめるべきではない」
との見解を示すとともに、
「金融政策は遅れを伴って機能する」と述べていたが、
ようやく市場の金利観とのギャップが埋められつつある。

今回の大幅追加利下げにより、FFレートは実質ゼロ金利を下回る水準へ低下しており、
米ドルは金利面でのアドバンテージを失っているが、
昨年9月からの累積利下げの遅行効果と減税を柱とする景気刺激策を受けた期待成長率が
どの段階で織り込み始めるのか、「ポスト・サブプライム」の中期テーマとして念頭に置いておきたい。

さて、昨日のドル/円は今週明けの急落時に開けた日足チャート上の“窓埋め”に成功したが、
日足均衡表ではNYクローズが下向きで推移する『転換線』で抑えられる格好となっている。

本日の早朝取引では一時100.46円処まで続伸幅を拡大したが、
Minor Fibonacci retraceの100.68円処(=38.2% of 108.62⇒95.77)の手前で失速しており、
戻り上値の重さを示している。
NYクローズが『転換線』を上抜くまでは、続落リスクに対する警戒を怠らないようにしたい。

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